3ヒンジ系のラーメンは両支点がピンの為,反力の未知数が4となります.したがって、もし、部材間にヒンジがない場合は不静定構造物となり力のつり合い3条件だけでは反力を求めることができません.しかし、部材間に1ヶ所ヒンジを設ける事でその点での曲げモーメントの値が0となります.この条件を加える事で,3ヒンジ系ラーメンの場合,両支点がピンの場合でも,静定構造物として扱う事ができます.
 Lesson17.3ヒンジ系ラーメンの解法
 図17−1に示すような3ヒンジ系ラーメンの応力を求めましょう.  

図17−1


@まず反力を求めます.

 右の図からもわかるように、両支点がピン支持のため、反力は4つ生じます.したがって、この場合、反力を求めるためには4つの式が必要となります.力のつり合い式では3つまでしか反力を求めることができませんので,支点のつり合い式だけでは反力を求める事ができません

そこでD点がピン接合であることに注目します.
ピン接合でのモーメントの値は0となることはLesson12で学習しましたので,この条件を用いると =0となり,式を1つ増やす事ができます.

MD=0の釣り合いを考える場合は下に示すように,D点のピン接合を境にして左側部分と右側部分に分割して、どちらかの力の釣り合いを考えればいいのです.

 
よって反力を求めると…

よって左の図のように反力が求められます.

あとは、これまでに学んだラーメンの解法と同様に、部材間ごとで切断して,部材応力を求めていきます.


Aここでは下に示すように部材の切断面を設定します.


B各切断面での応力を求めます.

<@断面:A〜B間>
0≦x≦4m




<A切断面:B〜C間>
0≦x≦2m




<B断面:E〜C間>
0≦x≦3m




<C断面:F〜E間>
0≦x≦4m



 各応力図

主要点での各応力度の値は・・・


<A〜B間>
 0≦x≦4m =0:A点 x=4:B点

 N(x)=−9/5   : N(0)=−9/5kN  N(4)=−9/5kN
 Q(x)=−6/10  : Q(0)=−6/10kN Q(4)=−6/10kN

 M(x)=−(6/10)x : M(0)=0kN・m  M(4)=−12/5kN・m

<B〜C間> 0≦x≦2m x=0:B点 x=2:C点

 N(x)=−6/10  :N(0)=−6/10kN  N(4)=−6/10kN  
 Q(x)=9/5    :Q(0)=9/5kN    Q(2)=9/5kN
 M(x)=(9/5)x−(12/5)  : M(0)=−12/5kN・m  M(2)=6/5kN・m

<E〜C間> 0≦x≦3m x=0:E点 =3:C点 =2:D点

 N(x)=−6/10
 Q(x)=−6/5
 M(x)=(6/5)x−(12/5) : M(0)=−12/5kN・m  M(3)=6/5kN・m


 節点Dの曲げモーメントM: M(2)=0

<F〜E間> 0≦x≦4m =0:F点 x=4:E点

 N(x)=−6/5  :N(0)=−6/5kN    N(4)=−6/5kN
 Q(x)=6/10  : Q(0)=6/10kN  Q(4)=6/10kN

 M(x)=−(6/10)x : M(0)=0kN・m  M(4)=−5/12kN・m
よって、各応力図は…



軸方向力図(N図)
せん断力図(Q図)
曲げモーメント図(M図)