2020年度卒業設計各賞が決定しました。
2/26(金)に、卒業設計審査会が開催され、建築学科の各賞が決定しました。
名城大学では常勤と非常勤が一同に介し(常勤6名と非常勤16名の計22名)、1日かけて最優秀賞をオープンに決定するクリティークを開催しています。
1. 作品の前で学生発表とディスカッションをするポスターセッション 3-4人組・6チームに分かれて、作品の前で学生発表とディスカッションをするポスターセッションを行いました。
2. 1次審査(投票) ポスターセッションを受けて審査員が通過に当たる作品への投票を行いました。
3. 1次未通過作品のクリティーク+1次通過者発表 惜しくも残らなかった作品も良い点がたくさんあります。審査員の評価を伝えました。 1次審査を受け、以下の作品が通過しました。
・開発都市の洞窟 -取り残される高架空間の採掘と転用手引き-
・風景再編集 -街並みを内包しながら、新たな都市体験を-
・感情と対話する空間・静かなる自然の侵略・人間と人工知能の共生建築
・幽玄建築・長者町アパートメント-屋上でつながる都市の暮らし
・伊勢神宮外宮における水中乾燥材木貯木場の活用に関する提案
・街から逃れられる場所 -都市空間に対する一時的逃避を目的とした空間の提案-
・岡崎田んぼ再興・繋ぐまちづくり -津波に対する沿岸地域での防災空間の提案-
・紡ぐ道 -都市に溶け込むミュージアム-
・週末読書-感性をより豊かにする余暇の過ごし方-
・瀬戸の記憶を積層するー陶土・珪砂採掘場の未来ー
・育て、育つアパート-住宅機能の拡充による店舗と子育て空間のあり方-
・生活特化地域 〜職住分離の『住』を考える〜・空き家のない世界-家仕舞いをする暮らしの可能性-
4. 1次通過作品へのクリティーク通過者の講評では、それぞれの審査員が強く押す理由を述べつつ講評を行います。
この学生の作品は素晴らしい、との応援演説
この作品にはこんな課題があるがどうか?
など、それぞれの審査員の意図を共有した上で、いよいよ、受賞の可能性のある作品を選ぶ審査に進みます。
5. 2次審査(投票)2次審査の結果、受賞候補として選出されたのが以下の作品です。
・児玉 成美:週末読書-感性をより豊かにする余暇の過ごし方-
・芝村 有紗:岡崎田んぼ再興
・長谷川 真央:人間と人工知能の共生建築
・坂口 雄亮:静かなる自然の侵略
・矢吹 悠萌:育て、育つアパート-住宅機能の拡充による店舗と子育て空間のあり方-
・渡邉 拓也:紡ぐ道 -都市に溶け込むミュージアム-
6. 2次通過者の補足説明+質疑応答上位4作品を選出するためのディスカッションが行われました。まずは、色々な意見がでた中で、学生からそれぞれの作品に関する補足説明の時間が取られました。その後、審査員と学生の質疑応答を行い、作品の良さを全員で判断していきます。
7. 卒業設計各賞受賞者の決定再度の投票とディスカッションを経て、名城大学建築学科卒業設計賞が、以下のように選出されました。
最優秀賞:芝村 有紗
:岡崎田んぼ再興2020年は花火大会のない夏であった。そこで岡崎市ではサプライズ花火が行われた。花火の音が聞こえると、近所の人々は突如田んぼに集い横一列となって花火を見上げた。近所の人々、田んぼから感じる虫の音、草や土の香りと共に見た花火の感動を忘れられない。季節を感じさせる要素として田んぼは印象的な存在であった。しかし近年、遠くまで見渡せたはずの田んぼが宅地化で無くなりつつある。私達は田んぼと親しむことの出来る最後の世代であるかもしれない。本制作では、田んぼの美しい風景とともにある人々の集う場を設計した。四季を追うごとに共に変化し、内部空間も変わり、過ごし方が変わっていく建築。
優秀賞:坂口 雄亮
:静かなる自然の侵略 -人間主体の解体手法-「建築が地球を汚している。」
僕はそう思いたくなかった。人間が主体となってつくられた物体から人間が離れたとき、それらはどのような扱いを受けるのでしょうか。本提案ではこれらの無秩序な領域に対して建築という視点からアプローチする。今回、建築の解体という行為を通して建築のつくられ方や終わり方を模索していく中で目指す空間は建築の形をした丘。そこでは人間が寝そべったり、鳥たちが地面で餌を啄んだり、植物があらゆる場所に生えたりするあらゆる物体が自由気ままに振る舞う空間だ。 とあるオーナーが管理するこの空き家に対してオーナーが個人でDIY的に行える12の操作を提案した。それらの操作は全て建築の解体を促進させるための操作であり、その裏側では植物や生物などの自然にとって利点のある操作でもある。 60年という年月で解体が進みその中で解体されていく建築は様々な姿を魅せる。(右の5枚の画像)そして、街にとっても建築ストックの有効活用や建築産業廃棄物コストの削減、生物多様性による都市の緑化など様々な価値を持って社会に還元される。そして、都市の中に本提案のような建築が存在することで都市の中の自然のネットワークを形成する起点となり、都市の中が終わりの設計された建築で溢れ、地球上のすべてのものが等価に振る舞う状態となることを願う。
優秀賞:矢吹 悠萌
:育て、育つアパート-住宅機能の拡充による店舗と子育て空間のあり方-
”シングルマザー”と呼ばれる女性たちは子育てなどにより時間的余裕がないためにスキルアップが望みづらく、社会進出が難しい現状があります。お母さんたちこそ社会をよりよくすることのできるキーパーソンなのではないかと私は思います。 本提案では民間の集合住宅よりも安い価格帯で住むことができるうえ、社会的スキルアップができる新しい建築プロトタイプを提案します。 寝室以外の住宅機能を開き、ひと家族の占有面積を最小限に抑えることで生まれた空間に商業空間を挿入します。これにより家賃を抑え、店経営という社会的スキルアップのできる場とします。また、開いた住宅機能を分散配置することで育児と家事をシェア し、時間的余裕を捻出します。 将来の展望として本提案のようなアパートが集住の候補の一つとなり、子育て期の女性がより輝くことのできる社会になることを期待します。
審査員特別賞(アーキテクト賞):渡邉 拓也
:紡ぐ道 -都市に溶け込むミュージアム-