これまでは、力の釣り合い条件だけを用いて応力を求めることのできる、静定構造物について学んできました。しかし実際は

建物のほとんどが、力の釣り合い条件だけを用いて応力を求めることができない不静定構造物です。そのような不静

定構造物を解く場合用いられる方法として、たわみ角法固定モーメント法があります。このSTEPではまず、たわみ角法

について説明していきたいと思います。

 

 Lesson26. たわみ角法の基本公式

       

フレームの一部に図7−1のような荷重がかかり、節点A,Bが移動し図7−2のように部材がたわんだとします。このとき材端

A、Bに発生する材端モーメントMAB、MBAを次の様な式で表すことができます。

 

 


           
             図7−1

図7−2

    一般的には、右辺第一項を標準高度Koで割って2E、


    Koを()内にかけて表します。不規則なラーメンでない


    場合はこちらのほうが便利です。

 
 
   
                     

    ?断面二次モーメント? → Lesson21へ

 
 ■部材角 : R
           

図7−3のように部材が荷重を受け、節点(B点、C点)が移動して変形したとします。この時図7−4のように、材の

両端を結んだとき、元の位置との角度部材角と言います。部材角は節点が移動したときのみ発生します。

なので節点が移動しなっかた場合、R=0となります。式(7−2)よりψ=−6EKRだからψ=0となります。

 


図7−3




図7−4
 
 ■節点回転角(たわみ角) : θ

 

図7−5のように部材ABが荷重を受け,たわんでいま

す。このとき材軸のわん曲線と、元の位置との角

節点回転角(たわみ角)といいます。

 固定端ではたわみ角は発生しない(lesson12へ)

ので、θ=0となります。式(7−2)よりφ=2EKθ

だからφもφ=0となります

 
図7−5

 

 

 
 ■固定端モーメント : C
 

  固定端モーメントとは求める材の両端の節点回転角が0のとき、すなわち両端が固定端のときの支点に生じる

 反力モーメントのことです。基本的な例を下に示します。   違うパターンはこちら

 
 
 
 
 ■節点方程式

  

複数の部材が接している点、節点には各材の材端モーメントが集まります。これらはすべて釣り合ってなければなり

ません。すなわち各接点でのモーメントの合計、ΣM=0を表したのが節点方程式です。

+M=0
+M+M3=0
   
 ■層方程式
 
 


   図7−10




図7−11

各層(各階)における柱のせん断力は、

その層から最上階までの間に作用する

外力の水平分と釣り合ってなければな

りません。ということは各層でΣX=0と

い う式が成り立つので、

 
 

 

となります。またせん断力Qは
 
表すことができるので、これを代入し変形すると
 
 
これを層方程式といいます。
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 図のように材端に極めて近い場所で応力を仮定

 したとします。A’、B’に注目してB’点回りのモ

 ーメントの釣り合いを考えると
  
  

 となります。

  よってせん断力は、その材端にかかるモーメントの

  和をスパンで割って表すことができます。