これまでの自由振動では、
一旦振動が生じるとずっとその揺れは続いていました。
しかし、普段の生活の中で経験する振動は、
時間が経つと次第に揺れ幅が狭まり、最後には停止しますよね。
実生活では構造物以外に、映画館のドアなどによく見かけるので、
それをイメージすると考え易いと思います。
このように徐々に振幅が小さくなる振動を“減衰振動”と言います。
標準の減衰量
cc は微分方程式を解いて導かれています。
微分方程式の解き方を調べたい方は、
ゼミのホームページの
こちらでテキストをダウンロードするなどして調べて下さい。
そして、これまでの減衰係数
c を標準の減衰量
cc で割った値
h を用いて次のように表します。
減衰定数
h のとる値によって、
振動の仕方は大きく
3パターンに分けることができます。
(先の
5-1 減衰モデル の項で述べた3つの性質とはまた違うものです。)
@ h > 1 の場合 → 過減衰
標準の減衰量
cc より減衰係数
c が大きい時、
つまり、
減衰定数 h > 1 の状態を
“過減衰”と呼びます。
一般構造物の振動では、過減衰になることはほとんどありません。
過減衰の特徴は、揺れないことです。
それぐらい減衰力が強いのです。
普通の振動は上下であったり左右であったり、往復運動になります。
しかし、過減衰の場合は反対側へは行かずに、
釣り合う点、つまり平衝点へゆっくり近づいていって止まります。
A h = 1 の場合 → 臨界減衰
cc と
c が同じ時の減衰の状態を、
“臨界減衰”と呼びます。
これも基本的には過減衰と同じで、何度も揺れたりはしません。
つまり、
cc とは、臨界減衰を示す量だったわけです。
しかし変位が 0 になるスピードは速く、
振動するかしないかのギリギリのスピードでサッと 0 地点に戻ってきます。
B h < 1 の場合 → 減衰振動
振動しながら徐々に振幅が収まっていくのがこの
“減衰振動”で、
一般の構造物の振動はほとんどがこの振動です。
h が小さければ小さいほど、自由振動のように振動が長く続きます。