曲げに耐えるための効率のよい断面であるかどうかという断面の形状の評価には、断面のモーメントが用いられます。 これは力のモーメントのようなものですが、力のかわりに部材の断面の各部分のモーメントを求めて、断面の効率とす るものです。この項では断面についての性質にかかわる基本事項について学んでいきます。
断面1次モーメントは、一般に断面の図心(重心)を求めるために必要な係数です。ある図形の断面積をAとしたとき、その図心(重心)から、与えられた軸までの距離をyとすると、その断面1次モーメントSは次の式で求める。
式 (20-1)
y1,y2 X軸からA1、A2の図心までの距離
以上のことは、Y軸についても同様に求められる。
部材の曲げに対する強さは、断面の大きさだけでなく、その断面の性質によって定まります。
同じ断面の部材であっても、その断面の形状(性質)によって曲げに対する強さは異なってきます。
そのような曲げに対する断面の性質として、基本となるのが、断面2次モーメントなのです。従って、
この断面2次モーメントはよく理解しておく必要があります。簡単にいえば、
断面2次モーメントが大きくなるほど、曲げに対する強さも増し、断面2次モーメントが小さくなるほど、
曲げに対する強さは減るのです。その断面2次モーメントは、正確には積分で求められます。
(b:部材の幅、h:部材の丈)
部材の丈が2倍になると、hが8倍の大きさになることから、曲げに対しては部材の幅よりも
丈がいかに重要かということがわかります。途中の計算式は、それほど重要ではありません。
重要なのは、その結果として得られた値です。一般に部材は長方形の断面を採用することが多いので、
この断面2次モーメントだけは、いつでも思い出せるように、しっかりと記憶しておいてください。